canyon 峡 ——環境に生きる者が環境をコントロールする
下流の渓谷を守る二つのダムの紹介です。
群馬県藤岡市譲原と埼玉県寄居町の間にある下久保ダムは下流に三波石峡(さんばせききょう)を持つダムです。三波石とは、この地域一帯で採れる白い縞模様を持つ美しい石のことです。発電のために地下へ水を送るこの下久保ダムが建設されたあと、長いあいだ川の水が枯れた状態が続き、魚も、魚を餌にする鳥もいなくなってしまいました。現在はダムから川へ水を送るよう工事を行い、三波石峡に美しい景観と生き物も戻っています。
高津戸ダムは群馬県みどり市にあるダムです。下流にはダム名と同じ高津戸峡が広がっています。荒々しいゴツゴツした岩と、鮮やかな紅葉のコントラスト。自然の美しさにしみじみと感動しました。
ダムめぐりでは、ダムそのものやダム湖に目が行きがちですが、周辺の環境にも見ることはとても大切です。ダムによってどのような環境の変化があったのか知ることは、私たちの生きる場所について学ぶことにもつながっていきます。
下久保ダム
渓谷から見上げる形でダムがある。L字に曲がった体をしており、ゲートは片側だけにある。
下流の三波石峡のところどころにある四十八個の大きな岩には、見た目の印象から名前がつけられているが、どの岩もどの名前のものか判別することができなかった。
下久保ダム しもくぼだむ
FNWIP /重力式コンクリート
堤高129m / 堤頂長605m / 堤体積1193千㎥ / 1968年
群馬県藤岡市保美濃山(右岸 埼玉県)
高津戸ダム
岩場は水や石によって削られ、自然な模様ができている。
高津戸峡は紅葉の名所。時期には山々も赤黄色に変化していた。ダムそばの歩道でも、もみじが真っ赤に色づく。
ダムのそばにかかる「はねたき橋」から下流に向かって見たところ。さらに奥にかかる赤い橋と光を浴びキラキラと輝く川を長い時間眺めてしまった。
高津戸ダム たかつどだむ
P /重力式コンクリート
堤高29m / 堤頂長92m / 堤体積28千㎥ / 1973年
群馬県みどり市大間々町高津戸1090-4